「これ……」
それは、長形の封筒くらいの大きさに切られた白い紙だった。
黒い墨汁で何かが書かれているが、あいにく陽茉莉には読むことができなかった。古文や歴史の資料集で見たような、崩した変形文字だ。
陽茉莉は、その白い紙に見覚えがあった。以前、相澤の毛布を取りに行ったときに机の上に無造作に置かれているのを見た。
「これが、礼也が作った祓除札ね。こっちが癒札」
高塔は説明しながら、その白い紙を陽茉莉の前につつっと差し出す。
「基本的には、神力を込めて祓いの文言を書けば祓除札になるんだけど、その込め具合の上手い下手で札の効力が変わる。墨は特別なものだから、詩乃さんに言えばもらえる。後は、上級者になると札を使わなくても神力をコントロールして祓うこともできる」
「なるほど。ところで、その〝神力のコントロール〟っていうのは、どうやるんですか?」
「え?」
「え?」



