「なんか、係長ってお父さんみたい」
相澤は驚いたように目を見開いたが、次いでふてくされたようにふいっと目を逸らす。
(あれ、怒っちゃったな?)
今二十五歳の陽茉莉に対し、相澤は二十七歳。お兄ちゃんならまだしも、お父さん呼ばりして気を悪くしてしまったかもしれない。
悠翔とあまりに歳が離れているので、先日陽茉莉はそのことを相澤に聞いた。なんでも、相澤は琴子さんが二十歳過ぎの頃の子供、悠翔は四十歳を過ぎて授かった子供なのだと言っていた。そう考えると相澤と悠翔の歳の差も〝親子〟なのだが。
「係長、冗談ですよ。機嫌を直してください」
「別に、機嫌は悪くない」