陽茉莉はふたりのやりとりを微笑ましく思いながら眺める。
 先日のように自分も行きたいと駄々を捏ねられたらどうしようかと思っていたけれど、それは杞憂だった。安心したような、なんとなく寂しいような。

 お昼ご飯のチャーハンを食べて後片付けを終えると、陽茉莉はすっくと立ち上がる。

「じゃあ、私出かけてきますね。夕食は、キッチンに置いてあるお鍋をたべてください」
「ああ、わかった」

 相澤はこちらを振り返る。

「あんまり遅くなるなよ」
「はい」
「お守り持ったか?」
「持っています」