「その代わり、今日はお兄ちゃんが一日悠翔君と遊んでくれるよ」
「え? 本当?」

 悠翔は途端に表情を明るくする。トタトタとリビングのほうに向かうと、ソファーに座って録り溜めていた刑事ドラマを見ていた相澤の膝に両手を乗せる。

「お兄ちゃん、今日は一日いる?」
「ああ、そのつもり」
「やったー。じゃあ、公園にサッカーしに行こうね」
「いいよ」

 悠翔に向かってにこりと笑いかける相澤の横顔が、キッチンカウンター越しに見えた。弟思いの相澤が悠翔を見つめる眼差しは、いつも優しい。

(やっぱり、お兄ちゃんが一番好きなんだなぁ)