「あのとき、祓除師には訓練すれば私もなれるって言っていましたよね? 祓除札を作ったり、癒札を作ることができるって」
「言ったねえ」
「あれ、私も訓練したいです」

 陽茉莉は意を決して、高塔にそう告げた。

 祓除札は邪鬼を祓うためのお札、癒札はあやかしの妖力を回復させることができる札だ。
 高塔は柔和な表情から笑みを消すと、探るような目付きで陽茉莉を見つめる。そのまっすぐな眼差しに居心地の悪さを感じたが、自分を奮い立たせてしっかりと見返す。陽茉莉は緊張して、こくりとつばを飲み込んだ。

「失礼しますー」と明るいかけ声と共に個室のドアががらりと開く。
「天ぷらそばと、日替わりランチをお持ちしました」