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 こんな秋晴れの日は、ランチタイムに外でご飯を食べるのも悪くない。そして、この人とふたりきりでランチをするなら、外で食べるの一択しかない。

「いやー、こんな完全個室のお店に連れ込まれちゃうなんて、新山ちゃん、見た目に寄らず意外と積極的だねー」
「高塔副課長、どれにします?」

 陽茉莉は目の前の男、高塔一馬のふざけた発言を完全に無視して、お店のランチメニューをずいっと差し出した。

「俺、新山ちゃんと二人っきりで密室デートしたって言ったら礼也に嫉妬されちゃうかも」
「嫉妬はされないと思います。そもそも、デートじゃないです」
「なんなら、午後はこのままふたりで出かけちゃう? あそこに戻ると、仕事ばっかりだし」
「会社は仕事をする場所です。それより、さっさと選んでください」