陽茉莉は完成したカレーを試食して、満足げに独りごちる。

(そうだ。係長も味見するかな?)

「係長ー」

 陽茉莉はリビングのほうに声をかける。けれど、返事はなかった。

「係長?」

 ソファーに近付くと、今日もオオカミ姿のまますやすやと眠っている相澤の姿があった。毛並みが少ししっとりとしているのは、お風呂に入った後にきちんと髪を乾かしていなかったからだろうか。

「こんなところで寝てると、風邪ひいちゃいますよ」