高塔は何でもないことのように、そう言った。
オオカミの姿で休んでいると聞いて、確かに思い当たることはあった。会社の仕事でもないときに夜遅くなる日は、相澤はリビングでオオカミの姿で眠り込んでしまうことが多い。
(あれって、疲れから回復するためだったんだ……)
陽茉莉はそれを、ただ単にリラックスしているだけなのだと思っていた。
(この前も社内商品を持って帰ってコツコツ作戦を練ってたし、オオカミの姿になって回復させないといけないくらいまで無理してるし、本当はすごく努力家なんだろうな)
会社ではバリバリ働き成果を上げ続け、夜もそんな裏の顔を持っている相澤のことを、陽茉莉は半ば〝何でもできるスーパーマン〟のように見ていた。
けれど、彼は彼なりに多少無理しながらも頑張っているのだと、今さらながらに知る。