「人が変わったようになる。時々、耳にすることがあるだろ? 温厚な人間が、ある日を境に別人みたいに変わったって。中身が変わっているんだから当たり前なんだよな」
高塔は中身が残っていたアイスコーヒーのグラスに手を伸ばすとストローでちゅうっと中身を飲む。
「神力があろうとなかろうと、死んだ人間の意識が別人に入り込むんだから、遅かれ早かれ不具合が起きる。つまり──」
──呑まれた人間のほうが、壊れる。
淡々と語る高塔の言葉に、陽茉莉はヒュッと息を呑んだ。
壊れるというのは、きっと〝死〟を意味しているのだろう。