陽茉莉は目の前に座る和風美人改め、神部詩乃をまじまじと見つめる。彼女は人間ではなく神使なのだという。
 なんでも、この世に未練が残って成仏できず、悪霊化して邪鬼となった者達を隠世に送るために浄化する指令を各地のあやかし達に送っているらしい。

「じゃあ、恋人ではない?」
「断じて、違う」

 詩乃がぴしゃりと否定する。

「新山ちゃん。それ確認するの、もう五回目だから」

 高塔がからかうように会話に割り込んでくる。

「それにしても〝清廉潔白な間柄〟って……」