「あ! もしかしてあなた、あのわんちゃんの飼い主?」

 陽茉莉はピンときてそう尋ねる。最近何かを助けたと言えば、犬以外に記憶がない。

「わんちゃん?」

 男の子は狼狽えたような顔をした。

「あなた、飼い主なんでしょう? あの子、すっかり元気になった?」

 陽茉莉はずいっとその男の子との間合いを詰める。

「……うん、なった」
「そっかぁ。よかった」

 陽茉莉はほっと胸をなで下ろしてへらりと笑う。男の子はなぜか、腕で顔を隠すようにして少しだけ顔を赤くした。