「げっ!」

 年頃の乙女らしからぬ声が出た。
 ここはデート現場なのである。そして、隣には相澤の彼女がいるわけで……。

「住んでるって、礼也の家に?」
「そうだよ。お姉ちゃんは料理が上手でね、──」

 高塔が重ねた質問に、悠翔がすらすらと答える。

(ひいい。お願い、もう黙ってー)

 陽茉莉の願い虚しく、悠翔はご丁寧に昨日の夕ご飯のおかずまで説明している。