高塔が不思議そうな顔をしてこちらを見る。 新山ちゃん? 名前を覚えられていたことにもびっくりだけど、私はいつ高塔副課長から「ちゃん」付けされるような仲になったのだろう? 「実はですね。そこで偶然──」 とにかく、会社の人に同居をばれるわけにはいかない。陽茉莉はすぐに適当な言い訳を並べようとした。 ところが、その努力は一瞬で無に返る。 「だって、お姉ちゃんも一緒に住んでるもん!」 屈託のない笑みを浮かべた悠翔が大きな声で答える。