その数日後のことだ。

 陽茉莉が小学校から帰ってくると家の前に知らない男の子が立っていた。
 整った顔立ちに、子供ながらに綺麗な子だと見惚れたのを覚えている。

「これ、お前にやる」

 陽茉莉と目が合った男の子は、開口一番にそう言ってずいっと片手を差し出す。
 陽茉莉はその手の上を覗き込んだ。

「これ、何? 可愛い」

 手のひらには、小さな布袋が乗っかっていた。七五三で着た着物のような赤い和服の生地でできている。

(でも、なんで私にこんな物を?)

 不思議に思って陽茉莉は男の子を見返す。

「中に護符が入っているから、持っておけよ」
「〝ごふ〟って何?」

 陽茉莉は聞き慣れない単語に、首を傾げる。

「お守りみたいなもん。助けてくれたお礼」
「助けてくれた?」

 陽茉莉はきょとんとして目を瞬かせ、少しの間考える。