陽茉莉は悠翔と目線の高さを合わせるようにしゃがむと、にこりと微笑む。
(係長のお仕事を邪魔するわけじゃないし、それくらいは平気だよね……?)
その神社に何があるのかは知らないけれど、そこに行きさえすれば悠翔も満足するだろう。
「じゃあ、お昼ご飯を食べたらお出かけの準備しよう」
「今日のお昼は何?」
「うーん。クレープはどうかな? ツナとレタスを乗っけた」
「クレープ? 僕、好き! 家で作れるの?」
「作れるよ。お姉ちゃんに任せて」
「やったー」
機嫌を直した悠翔がピョンと跳ねた瞬間に子犬──正確には子オオカミになる。尻尾をぶんぶんと振りながらリビングに向かうその後ろ姿を見て、陽茉莉は相好を崩したのだった。