「お兄ちゃん、どこに行ったの?」
「八幡神社」
「八幡神社?」

 陽茉莉は首を傾げる。場所がわからずにスマホで検索すると、三駅ほど先にある神社であるとわかった。

「じゃあ、お姉ちゃんとこの神社にお参りに行く?」
「本当?」

 床に突っ伏したままだった悠翔がガバリと起き上がり、こちらを見上げる。ずっと亀のように伏していたせいで紅潮した頬は涙で濡れ、大きな瞳にはまだうっすらと水の膜が張っている。

「うん。たまにはちょっと遠くにお散歩に行こうか」