「悠翔君、お姉ちゃんとお家で待ってようよ」
「やだ」
「公園はどう?」
「やだ!」
「じゃあ、お菓子でも作る?」
 
 今度は返事をせずに、丸く亀のようなポーズになったまま動かなくなった。

(困ったなぁ)

 陽茉莉の経験上、小さな子供はこうなるとなかなか手強い。
 放っておくというのもひとつの手ではあるが、普段は聞き分けがいい悠翔がここまでへそを曲げるというのになんとなく引っかかった。