自席に戻ると、早速隣の席の楠木さんに話しかけられた。

「やっぱり相澤係長を主担当に指名したね。予想通りって言うか」
「そうですね。係長、仕事できますもんね」

 事実、相澤の営業成績は部内で断トツだった。あの会議室にいたメンバーの誰もがこの案件を受け持つなら相澤だと思っていたはずだ。

「でも、相澤係長は『よい結果を出します』って言っていたけど、なかなか厳しいんじゃないかなー? だって、うち以外にもかなりたくさんの会社がコンペに応募するみたいだよ」

楠木さんは肩を竦めると、パソコンに向かって仕事を始める。