総客室数四五〇室といえば、一日のアメニティの使用量はかなりの量になる。それだけでも大きいのに、その先には同グループのいくつものホテル。陽茉莉が営業第一に配属されてからは一番の大型案件であることは間違いない。もしかすると、ここ数年でも一番の案件かもしれない。

「本件の担当だが……」

 須山課長は顔を上げて会議室のメンバー達を見渡し、一点で視線を止めた。

「相澤。お前に頼む」

 指名された相澤は一瞬だけ驚いたような顔をしたが、すぐに表情を引き締める。

「はい、承知しました。必ずよい結果を出します」
「頼んだぞ。他のメンバーも相澤のサポートをしてやってくれ。いいな?」
「「はい」」

会議室にいたメンバー達の声が一斉に重なった。