「うん。商品開発に行く前に、お客様目線を身に付けたほうが本人のためになるって」
「まあ、確かにそうだね」

 営業第一で働いている中で、〝こんな商品があればいいのに〟と思うことは多々ある。そういう経験は、商品開発部に異動した際には大きな財産になるだろう。

(そんなこと思って引き抜いてくれたんだ……)

 陽茉莉は知らなかった事実に、驚いた。
 そのとき、若菜が陽茉莉の背後に目を向ける。