若菜は陽茉莉の肩越しに遠くを眺めながら、楽しげだ。なんでも、ここ一ヶ月ほど相澤と高塔が一緒に昼食を取っている姿が頻繁に目撃されているらしい。

「あのふたりって、昔からの知り合いみたいだもんね。どういう関係なんだろう?」
「昔から? そうなの?」

 陽茉莉は初めて聞く事実に、若菜に聞き返す。

「うん。相澤係長って中途採用じゃん? アレーズコーポレーションを受けに来たときの志望動機のひとつに知り合いが働いててやりがいがありそうだからって言っていたみたいなんだけど、それが高塔副課長のことみたい」
「へえ……」

 実を言うと、相澤が中途採用であることすら知らなかった。