急に背中から重さが消え、何かが争うような物音。最後に「ギャッ!」という悲鳴が聞こえた。

(な、何が起こったの?)

 恐る恐る振り返った陽茉莉は思わず悲鳴を上げた。

(これって、犬? 怪我しているの?)

 そこには、一匹の犬がうずくまっていた。

 サイズはおばあちゃんの家にいた柴犬と同じ位のサイズだけれど、顔つきが子犬に見えたので、大型犬の子犬なのだと思った。夕陽を浴びた毛並みは輝くオレンジ色に見えるが、元の色は白、もしくは銀だろうか?

(どうしよう。怪我しているのかな?)

 その子犬からは、嫌な気配を一切感じない。