「これは……まだ大丈夫だな。違和感、なくなったか?」
相澤が手を触れると、不思議と首周りの重さがふわりと消えた。こくりと頷くと、相澤がほっとしたように深い息を吐く。
「間に合ってよかった。これ以上、心配させないでくれ」
背中に優しく手が回され、子供を宥めるようにぽんぽんとされる。そうされただけで、不思議と恐怖心が消えてゆくのを感じた。
「歩けるか? タクシー、待っててもらっているから一緒に帰ろう」
「はい」
今度は素直に返事すると、相澤は陽茉莉が立ち上がるのを助けるように、片手を握って力強く引っ張る。そして、相澤はその手を握ったまま歩き出した。