「新山、大丈夫か?」

 両手で頭を覆っていた陽茉莉は、恐る恐る目を開ける。邪鬼に襲われて初めて助けてくれたときのような焦った表情をした相澤が心配そうにこちらを見下ろしている。

「ひっく。変なお化け──ひっ、邪鬼が乗っかってきて、首に変な、ひっく、感覚がして、ひっ……」
「首に違和感があるのか?」
「首、ひっ、肩」

 恐怖のあまり号泣した陽茉莉の言葉は上手く説明にならない。
 それでも、相澤はすぐに陽茉莉が首と肩に違和感を訴えていることを理解したようだ。陽茉莉の首筋を見るように肩にかかる髪の毛を掻き上げると、そこに手を触れた。