「ツカマエタ」

 首筋に冷たい物が触れる。そこから、ぞっとするような寒気を感じた。

「助けて! 誰か!」

 今度は首筋に強い不快感が走る。まるで、重りを乗せられているかのような感覚を覚えた。

 これまでになかったことに、陽茉莉はパニックを起こした。

(重い! 死んじゃう!)

 そう覚悟したとき、「新山!」と叫ぶ声が聞こえた。
 首筋の違和感が消え、代わりに聞こえたのは「ギャアア」という悲痛な叫び声。それが止むと、力強く抱き起こされた。