(怖い、逃げないとっ!)

 陽茉莉は自宅に向かって走り始める。

 その直後、ガシンと背中から何かにのしかかられるような衝撃を受けた陽茉莉は前に倒れた。

「オマエ、イイナ。ホシイナ。ツカマエタ」

 ぞっとするような声が背後から聞こえた。

「誰か! 助けて!」

 陽茉莉は恐怖のあまり、ぎゅっと目を瞑り半泣きで叫ぶ。

 ──そのときだ。

 視界の端を、シュッと白い何かが横切った。