慌てて謝罪して駅まで歩こうとすると、また体がふらついた。

「そんなにふらついて『酔いは醒めた』はないだろ。タクシー、配車を頼むから待ってて」

 相澤はそこまで言うと、少し責めるように陽茉莉を見下ろす。

「なんで、こんなになるまで飲んだんだよ?」

 その瞬間、陽茉莉はムッとした。相澤の責任ではないけれど、陽茉莉が飲みたい気分になったのは相澤のせいだ。
 弟の世話を部下に押しつけて──と言っても、化け物から襲われなくなるというWINーWINの関係だけど──自分は恋人とお楽しみっていうのが、なんか腹立たしい。

 それを、人の気も知らないで。