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 陽茉莉には昔から、人とは違う不思議なことがあった。それは『人ならざる者が見える』ということだ。

 ──あれはまだ、幼稚園児の頃だった。

「ねえ、あれは何かな?」
「え?」

 公園で遊んでいると、電柱の上に人影を見つけた。
 どうやってそこまで登ったのか、落ちるのではないかと心配する陽茉莉をよそに、呑気に座って下を眺めているその子は頭に角の生えた鬼のような姿をしている。

「何もないよ? 陽茉莉ちゃんどうしたの?」

 陽茉莉の視線を追ってそちらを眺めた友達がきょとんとした顔をする。

「え?」