ドアを開いた相澤の背中に、陽茉莉は明るく声をかける。
相澤は振り返ると、口の端を上げて片手を振った。
陽茉莉はその後ろ姿を見送った後、悠翔を起こしに行く。
子供部屋に行くと、ベッドの上で子犬の姿になって丸くなる悠翔の姿があった。
「悠翔君、朝だよー」
首の辺りをもしゃもしゃとくすぐると、薄らと子犬がまぶたを開ける。
「学校行く時間だよ」
「学校? もうそんな時間?」
ポンッと悠翔が人間の姿に変わり、腕で寝ぼけまなこをごしごしと擦る。
この摩訶不思議な変化も、段々と慣れて違和感を抱かなくなってきた。