◆◆ 2
その日、陽茉莉は営業先から直帰した。最寄り駅で電車を降りて時計を確認すると、まだ午後六時だった。
「今日は早く帰れたし、自炊にしようかなー」
駅前のスーパーで材料を物色して、携帯エコバッグに詰めて肩に掛ける。
家に向かい歩く道は、閑静な住宅街だ。
「ケケケ」
途中、ふと耳障りな声が聞こえた気がして陽茉莉はハッとする。
慌てて周囲を警戒するように見回したが、何も見えなかった。
「イイノミツケタ」
今度は間違いなく聞こえ、ご機嫌だった気分は一瞬にして凍り付いた。
(ああっ、もう! またなの?)
陽茉莉は慌てて鞄の中を探る。そして、手探りで探し当てた古ぼけた小さなお守りを、ぎゅっと手に握りしめた。
(大丈夫、大丈夫。お守りがあるんだから)
陽茉莉は手に握りしめた古ぼけたお守りを胸に寄せ、自分にそう言い聞かせた。
その日、陽茉莉は営業先から直帰した。最寄り駅で電車を降りて時計を確認すると、まだ午後六時だった。
「今日は早く帰れたし、自炊にしようかなー」
駅前のスーパーで材料を物色して、携帯エコバッグに詰めて肩に掛ける。
家に向かい歩く道は、閑静な住宅街だ。
「ケケケ」
途中、ふと耳障りな声が聞こえた気がして陽茉莉はハッとする。
慌てて周囲を警戒するように見回したが、何も見えなかった。
「イイノミツケタ」
今度は間違いなく聞こえ、ご機嫌だった気分は一瞬にして凍り付いた。
(ああっ、もう! またなの?)
陽茉莉は慌てて鞄の中を探る。そして、手探りで探し当てた古ぼけた小さなお守りを、ぎゅっと手に握りしめた。
(大丈夫、大丈夫。お守りがあるんだから)
陽茉莉は手に握りしめた古ぼけたお守りを胸に寄せ、自分にそう言い聞かせた。