「結構です!」

 陽茉莉は相澤を向かいの部屋に追いやると、バタンとドアを閉めて自分はベッドの上にダイブする。
 顔が熱い。
 普段なら、相澤は絶対にあんなことを言わない。

(今日は、相当酔っていたのかな……)

 酔うと人間理性が効かなくなり、素の自分が出やすくなると聞いたことがある。
 と言うことは、むしろあれが本性なのか?

(でも、缶ビール一本しか置いてなさそうに見えたけど……)

 相澤とは、職場の懇親会などで、何回か酒席で一緒になったことがある。
 そこまで強い印象はないが、弱い印象もない。あの缶ビールの前にも何本か飲んでいたのだろうか。