説教じみたことを言われ、陽茉莉はシュンとする。
実をいうと、最近少し気が抜けていた。
相澤と一緒に暮らし始めてから邪鬼に襲われることはおろか、声さえ聞くことがなくなったので、油断していたことは確かだ。
(虫除けと一緒、か……)
実に的確な表現だと思った。あの化け物達が近付いてきにくくはなるけれど、絶対に襲われない保証などどこにもないのだ。
「係長」
「何?」
「あの邪鬼に襲われると、どうなるんですか?」
その瞬間、相澤の表情が明らかに強張ったのがわかった。
答えは聞いていないけれど、きっととても悪いことが起こるのだとその表情だけでわかる。