(な、なんでこんなことしてるの!?)
動揺した陽茉莉は真っ赤になり、あわあわと相澤を見返す。目が合った相澤は口の端を上げた。
「確かに、何も感じない」
「え?」
「悪い気配は感じないってこと」
「あ……」
なるほど。
今のは陽茉莉にあのお化け──正確には邪鬼だったっけ?──の気配がないかを確認してくれたのだろうか
「係長と一緒に住むようになったら、本当にあのお化けに襲われなくなりました。ありがとうございます」
「ああ。近くにいる時間が長ければ長いほど気配が移るからな。ただ、あくまでも虫除けと一緒だ。襲われなくなる保証があるわけじゃない。あんまり人通りがない時間にひとりで出歩くな」
「はい」