「だったら可能性あるよ、きっと。だから自信持ってよ」
「うん! ありがと、さやかちゃん!」
愛美は大きく頷くと、チョコレートの箱を大事そうに抱えて自分の部屋に戻った。
――初めての恋。このドキドキの体験を、〝あしながおじさん〟に知ってもらいたい。愛美は便箋を広げ、ペンを取った。
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『拝啓、あしながおじさん。
お元気ですか? わたしは今日も元気です。
この学校に入学してから早いもので一ヶ月半が経ち、学校生活にもだいぶ慣れてきたところです。
わたしは勉強こそできますが、どうも流行には疎いらしくて、クラスの子たちの話題になかなかついていけません。そんな時はさやかちゃんに訊いたり、スマホで調べたりするようにしてます。
ところでおじさま、聞いて下さい。わたし、どうも初めて恋をしてしまったみたいです。
お相手の方は、珠莉ちゃんの親戚で辺唐院純也さんという方。珠莉ちゃんのお父さまの一男下の弟さんだそうで、手短にいえば珠莉ちゃんの叔父さまにあたるそうです。
彼はおじさまと同じくらい背が高くて、優しくて、ステキな方です。ご自身も会社の社長さんらしいんですけど、お金持ちであることをまったく鼻にかけたりしないんです。「むしろ、自分は一族の中で浮いてるんだ」なんておっしゃってたくらいで。
金曜日、学校を訪れた彼を、補習があって抜けられない珠莉ちゃんに代わってわたしが案内してさしあげて、学園内のカフェでお茶もごちそうになりました。
本当はわたし、自分の分だけでも払いたかったんですけど、残念ながら金欠で。一人分で千八百五十円もかかったんですもん。