さやかは、珠莉が怒っている原因を「彼女自身が疚しいからだ」と見破った。
「そ……っ、そんなんじゃありませんわ! さやかさん、何をおっしゃってるんだか、まったく」
(こりゃ図星だな)
さやかの読みは多分当たっているだろうと愛美も思った。
「言っとくけど、純也さんとは学校の敷地内歩きながらおしゃべりして、カフェでお茶しただけだから。――おごってもらっちゃったけど」
「なんですって!?」
「はい、どうどう。――それより愛美、アンタ顔赤いよ? どしたの?」
さやかはまだ怒り狂っている珠莉をなだめつつ、愛美の変化にも気がついた。
「えっ? ……ううん、別に何もないよ?」
慌ててごまかしてみても、愛美の心のザワつきはまだおさまらなかった。
(ホントにもう! わたし、どうなっちゃったの――?)
****
――それから数日間、愛美は純也のことばかり考えていた。
夜眠ろうとすれば夢の中にまで登場し、土日は寝不足で欠伸ばかり。三日経った今日は一限目から上の空で授業なんて耳に入らない。
「愛美、なんかここ数日様子がヘンだよ。ホントにどうしちゃったの?」
普段は大らかなさやかも、さすがに心配らしい。けれど、愛美自身にはその原因が何なのか分かっていないため、答えようがない。
六限目までの授業を全て終え、寮に戻ってきた愛美・さやか・珠莉の三人はまず寮監室に立ち寄った。普通郵便は個人の郵便受けに届くけれど、書留や小包みなどは寮監の晴美さんが預かり、本人に手渡されることになっているのだ。
そして今日は、愛美が待ちに待った〝あしながおじさん〟からの現金書留が届く日なのだ。
「そ……っ、そんなんじゃありませんわ! さやかさん、何をおっしゃってるんだか、まったく」
(こりゃ図星だな)
さやかの読みは多分当たっているだろうと愛美も思った。
「言っとくけど、純也さんとは学校の敷地内歩きながらおしゃべりして、カフェでお茶しただけだから。――おごってもらっちゃったけど」
「なんですって!?」
「はい、どうどう。――それより愛美、アンタ顔赤いよ? どしたの?」
さやかはまだ怒り狂っている珠莉をなだめつつ、愛美の変化にも気がついた。
「えっ? ……ううん、別に何もないよ?」
慌ててごまかしてみても、愛美の心のザワつきはまだおさまらなかった。
(ホントにもう! わたし、どうなっちゃったの――?)
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――それから数日間、愛美は純也のことばかり考えていた。
夜眠ろうとすれば夢の中にまで登場し、土日は寝不足で欠伸ばかり。三日経った今日は一限目から上の空で授業なんて耳に入らない。
「愛美、なんかここ数日様子がヘンだよ。ホントにどうしちゃったの?」
普段は大らかなさやかも、さすがに心配らしい。けれど、愛美自身にはその原因が何なのか分かっていないため、答えようがない。
六限目までの授業を全て終え、寮に戻ってきた愛美・さやか・珠莉の三人はまず寮監室に立ち寄った。普通郵便は個人の郵便受けに届くけれど、書留や小包みなどは寮監の晴美さんが預かり、本人に手渡されることになっているのだ。
そして今日は、愛美が待ちに待った〝あしながおじさん〟からの現金書留が届く日なのだ。