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――その翌日。六限目までの授業が終わり、愛美がスクールバッグを持って寮に戻ろうとしていたところ。
「――ええっ!? 今からいらっしゃるんですの!?」
スマホで誰かと電話をしているらしい珠莉の戸惑う声が、廊下から聞こえてきた。
(……珠莉ちゃん? 誰と話してるんだろう?)
愛美は首を傾げた。でも、誰か珠莉の知り合いがこれからこの学園を訪ねてくるらしいことだけは何となく分かる。
「もう近くまで来てらっしゃる!? ムリですわ! 私、これから補習授業がありますのに!」
珠莉は相当困っているらしい。
補習を受けなければならないのは中間テストの成績が思わしくなかったからで、それは自業自得なのだけれど。相手は珠莉の都合などお構いなしのようで、愛美としてもちょっと彼女がかわいそうに思えてきた。
「……分かりましたわ。私は案内して差し上げられませんけど、誰かに代わりをお願いします。それでも構いません? ……ええ、そうですか。じゃあ、失礼致します」
通話を終えた珠莉は、大きなため息をついていた。
「珠莉ちゃん。電話、誰からだったの?」
「あら、愛美さん。叔父からですわ。これからこの学校を訪問するから、案内を頼みたいっておっしゃられて」
「叔父さま……」
(……あれ? 確か『あしながおじさん』にもこんなシチュエーションが出てきたような)
愛美はふと思い当たり、そして次の展開の予想もできた。
(この流れだと、もしかして……)