――愛美の高校生活がスタートしてから、早や一ヶ月が過ぎた。

「愛美、中間テストの結果どうだった?」

 授業が終わった後、愛美の部屋に遊びに来ていたさやかが愛美に訊いた。
 最初は殺風景だったこの部屋も、さやかと二人で買い揃えたインテリアのおかげで過ごしやすい部屋になった。
 カーテンにクッション、センターラグに可愛い座卓。三年生が開催していたフリーマーケットで安く買えたものばかり。さやかのセンスはピカイチだ。

「うん、よかったよ。学年で一〇位以内に入った」

「えっ、マジ!? スゴいじゃん!」

 愛美やさやかの学年は、全部で二百人いる。その中の一〇位以内というのだから、大したものだ。

「そうかなあ? でもね、あしながおじさんが援助してくれなかったら、わたし住み込みで就職するしかなかったんだ」

「へえ、そうなんだ……。じゃあ、そのおじさまにはホントに感謝だね」

 さやかにも珠莉にも、あしながおじさんのことは打ち明けてある。二人とも、愛美のネーミングセンスは「なかなか個性的だ」と言っている。
 ……もっとも、このニックネームの出どころがアメリカ文学の『あしながおじさん』だということは話していないけれど。

「うん、ホントにね。――ところで、さやかちゃんと珠莉ちゃんの方はどうだったの? 中間テスト」

「…………う~~、ボロボロ。というわけで明日、補習あるんだ。二人とも」