「うん……。そっか、そうだね」

「そうだよ、愛美! さっそくお礼の手紙書いたげなよ。おじさま、もっと喜んでくれるよ」

「うん、そうする」

 たとえ〝あしながおじさん〟の正体が純也さんでもそうじゃなくても、二人の言うことは間違っていないと愛美も思った。
 だって彼は、〈わかば園〉の子供たちのためにも色々と考えて行動してくれていたから。それはきっと、今も続いているんだろう。

 だから、愛美からの「ありがとう」が彼にとって、今は一番のやり甲斐になると思った。

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『拝啓、あしながおじさん。

 秘書さんが送って下さったおじさまからのクリスマスプレゼントが、今日届きました。それも、こんなにドッサリ! まさか本当に一式そろえてくれるなんて思ってませんでした! 
 ドレスも靴も、ネックレスもクラッチバッグもファーの襟巻きも、どれもステキです。おじさまのセンスのよさに、わたしは脱帽してます。
 さらにはストッキングまで高級ブランド品なんて! わたし、珠莉ちゃんから聞くまでは、そんなものがあるなんて知らなかった……。
 これなら、珠莉ちゃんのお屋敷のパーティーに出ても気後れしなくて済みそう。「施設の出だからセンスがない」なんて、セレブ臭プンプンの連中には絶対に言わせないから!
 本当はね、おじさま。わたしは今回のおねだりにすごく申し訳ない気持ちになってたんです。だって、奨学金で免除された学費の分以上に、おじさまはお金をかけてくれたと思うから。
 でも、珠莉ちゃんとさやかちゃんが言ってくれたの。「おじさまは、わたしに喜んでもらいたくて大金を使ったんだから、責任を感じなくていい」って。
 おじさま、本当にそうなの? わたしは素直にこの厚意を受け取っていいの? 
 優しいおじさま、今回はわたしのワガママを聞いてくれて、本当にありがとう。ちょっと甘やかしすぎかな、とは思いますけど……。