「――そうだ愛美。このこと、おじさまに報告しなくていいの? おじさまも待ってるんじゃない?」

「……うん。そうだね」

 さやかに訊ねられ、愛美は悩んだ。――この報告は、〝あしながおじさん〟と純也さんの両方にすべきなのか、それとも〝あしながおじさん〟だけにしてもいいのか?

(だって、結局は同じ人に報告してることになるんだもん)

 両方に報告することは、愛美にしてみれば二度手間でしかない。けれど、どちらか一方だけに知らせれば、彼は「もしかして、自分の正体がバレているんじゃないか」と感づくかもしれない。

(どうしようかな……)

「愛美さん。純也叔父さまには私からお知らせしておきますわ。だから、あなたはおじさまにだけお知らせしたらどうかしら?」

 悩む愛美に、珠莉が助け船を出してくれた。

「姪の私が知らせても、純也叔父さまは不思議に思われないわ。お二人とも回りくどいのが嫌いなのは分かっておりますけど、そうした方がいいと思うの」

 そうすれば、純也さんからはきっと後からお祝いのメッセージが来るだろう。……珠莉はそう言うのだ。

「そうだね。珠莉ちゃん、ありがと。じゃあそうしようかな」

「あたしもそれでいいと思うよ。まどろっこしいけど、仕方ないよね」

「うん」

 やっぱり、さやかも珠莉が言った通り、〝あしながおじさん〟の正体を知っているらしい。

「じゃあわたし、勉強が終わったらおじさまに手紙書くね」

「うん! そうと決まれば、早く勉強終わらせよ!」

 この嬉しいニュースのおかげで、この後三人の勉強が(はかど)ったのは言うまでもない。

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『拝啓、あしながおじさん。

 おじさま、ビッグニュースです! わたし、作家デビューが決まりました!
 今日の午後、さやかちゃんと珠莉ちゃんと三人でテスト勉強をしてた時に、出版社の人から連絡が来たんです。わたしが応募した作品が、文芸誌の短編小説コンテストで佳作に選ばれた、って。その作品は、その文芸誌の来月号に掲載されるそうです!