『そんなこと……。ただ、他に伝え方が分かんなかっただけで』

『いやいや! だからね、僕も腹をくくったんだ。年齢差とか、姪の友達だとかそんなことはもう取っ払って、自分の気持ちに素直になろうって。なまじ恋愛経験が多いと、余計なことばっかり考えちゃうんだよね。だからもう、初めて恋した時の自分に戻ろうって』

 純也さんだってきっと、自分から女性を好きになったことはあるんだろう。それが身を結ばなかったとしても、好きになった時のトキメキはずっと忘れないはず。

『愛美ちゃん、ありがとう。僕の想いを受け止めてくれて。君は、僕がこれまで出会った中で、最高の女の子だよ。君とだったら、純粋に一人の男として恋愛を楽しめる気がするよ』

『はい。わたし、これだけは断言できますから。純也さんの家柄とか財産とか、わたしはまったく興味ないです。わたしが好きになったのは、純也さんご自身ですから!』

 愛美は胸を張って言いきった。
 お金なんて、生活していくのに必要な分さえあればそれで十分。彼は「人並みの生活」ができるように努力している人だ。たとえ将来お金持ちじゃなくなってしまったとしても、彼ならきっと(たくま)しく生きていけるだろう。

 そんな彼女に、純也さんはもう一度「ありがとう」と言った――。

****

 そんなやり取りを思い出しながら、愛美は幸せを噛みしめていた。
 すると、さやかからメッセージの返信が。

『やったね! 愛美、おめ~~☆\(^o^)/ 
っていうかノロケ? コレ聞かされたあたしはどうしたらいいワケ??(笑)』 

「さやかちゃん……、ゴメン!」

 文面からは、さやかが喜んでいるのか(これは間違いないと思うけれど)怒っているのか、はたまた困っているのか読み取れない。
 でも夏休み返上で寮に残って部活に励んでいる彼女には、ちょっと面白くなかったかも……と思ったり思わなかったり。

「あとで電話した方がいいかも」