(どうか全滅だけはまぬがれますように……!)
一応、自分の文才は信じている愛美だけれど、ここは祈るしかなかった。書き手が「面白い」と思う作品と、読み手が「面白い」と感じる作品が必ずしも同じとは限らないのだ。
「――あ、そうだ。ホタルはいつ見に行く?」
「えっ、ホタル? わたし、純也さんにそんな話しましたっけ?」
愛美は戸惑った。彼との電話でもメッセージのやり取りでも、一度もその話題には触れたことがなかったのに。
〝あしながおじさん〟への手紙には、確かに「純也さんとホタルが見たい」と書いたことがあったけれど。どうしてそのことを、彼が知っているんだろう……?
「あー……、えっと。……田中さん! そうだ、田中さんから聞いたんだよ! 愛美ちゃんがホタルを見たがってるってね」
「ああ、おじさまから聞いたんですね。なるほど。ホタルは見たいです。純也さんと二人で」
「じゃあ見に行こう。えーっと、今夜の天気は……」
純也さんがスマホで天気予報を検索し始めたので、愛美もそれに倣った。
「――そのスマホカバー、使ってくれてるんだね」
純也さんは愛美のスマホを見て、嬉しそうに言った。
「はい。あの日からずっと使ってます。だってコレは、純也さんが初めてわたしにプレゼントしてくれたものだから」
「そっか。大事に使ってくれてて嬉しいよ。――あ、今夜は曇りか。明日の夜は……」
再び天気予報をチェックし始めた純也さんに、愛美が答える。
「明日の夜は晴れるみたいですね」
「よし! じゃあ明日の夜、ホタルを見に行こうか」
「はいっ! 楽しみです!」
――明日の夜、ついに念願が叶う! 愛美は心が躍り、そして――決意した。
(決めた! わたし、明日の夜、純也さんに告白する! ホタルの力を借りて……)
今まで一年以上、ずっと彼に伝えられなかった想い。でも、ホタルに背中を押してもらえたなら、言えそうな気がした。
一応、自分の文才は信じている愛美だけれど、ここは祈るしかなかった。書き手が「面白い」と思う作品と、読み手が「面白い」と感じる作品が必ずしも同じとは限らないのだ。
「――あ、そうだ。ホタルはいつ見に行く?」
「えっ、ホタル? わたし、純也さんにそんな話しましたっけ?」
愛美は戸惑った。彼との電話でもメッセージのやり取りでも、一度もその話題には触れたことがなかったのに。
〝あしながおじさん〟への手紙には、確かに「純也さんとホタルが見たい」と書いたことがあったけれど。どうしてそのことを、彼が知っているんだろう……?
「あー……、えっと。……田中さん! そうだ、田中さんから聞いたんだよ! 愛美ちゃんがホタルを見たがってるってね」
「ああ、おじさまから聞いたんですね。なるほど。ホタルは見たいです。純也さんと二人で」
「じゃあ見に行こう。えーっと、今夜の天気は……」
純也さんがスマホで天気予報を検索し始めたので、愛美もそれに倣った。
「――そのスマホカバー、使ってくれてるんだね」
純也さんは愛美のスマホを見て、嬉しそうに言った。
「はい。あの日からずっと使ってます。だってコレは、純也さんが初めてわたしにプレゼントしてくれたものだから」
「そっか。大事に使ってくれてて嬉しいよ。――あ、今夜は曇りか。明日の夜は……」
再び天気予報をチェックし始めた純也さんに、愛美が答える。
「明日の夜は晴れるみたいですね」
「よし! じゃあ明日の夜、ホタルを見に行こうか」
「はいっ! 楽しみです!」
――明日の夜、ついに念願が叶う! 愛美は心が躍り、そして――決意した。
(決めた! わたし、明日の夜、純也さんに告白する! ホタルの力を借りて……)
今まで一年以上、ずっと彼に伝えられなかった想い。でも、ホタルに背中を押してもらえたなら、言えそうな気がした。