食後はミュージカルの開演時刻まで時間があったので、竹下通りを散策してました。その時に、雑貨屋さんでさやかちゃんが見つけてくれた三人お揃いの可愛いスマホカバーを、純也さんがプレゼントしてくれました! 
 わたしの誕生日が先月の四日だったことを知らなかった純也さんは申し訳なさそうに、「知ってたら、先月寮に来た時に何かプレゼントを用意してたんだけど」っておっしゃってました。でも、わたしは一ヶ月遅れの誕生日プレゼントでも、すごく嬉しかったんです。男の人からのプレゼントなんて初めてだったから(あ、おじさまがお見舞いに送って下さったお花は別です)。
 その後、バッタリ治樹さんに会いました。さやかちゃんはお兄さんとの遭遇にちょっと迷惑そうでしたけど、珠莉ちゃんが何だか治樹さんのこと気に入っちゃったみたいで……。わたしには分かる気がします。もしかしたら、珠莉ちゃんは治樹さんに恋してるんじゃないかって。
 ミュージカルが上演された劇場は、渋谷駅の近くにあります。わたしは劇場に入ったのが初めてで、すごくワクワクしてました。
 上演されたプログラムは、わたしがまだ読んだことのない小説が原作になってる作品でしたけど、すごくいい作品でした。
 歌もダンスもお芝居も、そしてキラキラした舞台装置も素晴らしくて、夢を見てるみたいでした。そして何より、お話の内容にも魅了されました。
 プロの俳優さんってスゴいですね! どんな役柄にもなりきってしまえるんだもん。わたしは多分、女優には向いてないと思います。演技とか、ウソついたりするのが苦手だし、だいいち音楽の成績があんまりよくないから。
 劇場を出た後は、お買いものタイム! わたしも古着屋さんを数軒回って、夏物の洋服とか靴を安く買いました。珠莉ちゃんなんか、両手にいっぱい紙袋を抱えて、それでもまだ買いたいものがあるって言って、セレクトショップへさやかちゃんを引っぱって行きました。