「……うん、そうだよね」

 珠莉の言うことはごもっともだ。でも、だからといって純也さん本人に「わたしのこと好きなんですか?」と訊く勇気は愛美にはない。

「――あー、やっぱり寮に着く頃には六時半回りそうだな、こりゃ」

 神奈川県に入った時点で、さやかがスマホで時間を確かめて呻く。すでに六時を過ぎていた。

「とりあえず、学校の最寄り駅に着いたら晴美さんに連絡入れとくよ。『あたしたちの晩ゴハン、置いといてほしい』って」

「そうだね。やっぱりクレープだけじゃ、夜お腹すくもんね」

 ――さやかはその後、最寄り駅に着くと、言っていた通り寮監の晴美さんに連絡したのだった。

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 ――その日の夜。愛美は部屋の共有スペースで、スマホを持ったまま固まっていた。

「う~~~~ん……、なんて書こうかな……」

 せっかく純也さんと連絡先を交換したので、さっそく彼に連絡しようと思い立ったのはいいものの。この時間、電話は迷惑かも……と思い、メッセージアプリを開いたのはいいけれど、文面が思いつかないのだ。男の人にメッセージを送るのは初めてだし……。

(とりあえず、無難に今日のお礼でいいかな……)

 よし、と気合を入れ、キーパッドを叩いていく。

『純也さん、今日はありがとうございました。すごく楽しかったです('ω') 東京にはまだまだ面白そうなスポットがありそうですね。また案内してほしいです。』

 勢い込んで送信すると、すぐに「既読」の表示が出て――。

『メッセージありがとう。僕も楽しかったよ。愛美ちゃんたちと一緒にいると、何だか若返った気分になった(笑) また一緒にどこかに行こうね。……今度は、できたら珠莉たち抜きで。』

 という返信が来た。

「え……」

 はっきり「好きだ」といわれなくても、この文面だけで何となく分かる。――これは、紛れもないデートのお誘いだ。