特に愛美自身、大胆すぎると思った言動が多すぎて、思い出しただけでも顔から火を噴きそうなのだ。

「でも、そのおかげで恋も一歩前進したじゃん。よかったんじゃない?」

「う……、それは……まあ」

「っていうか、純也さんのアレってさぁ、『付き合ってほしい』って意味だったんじゃないの?」

「…………」

 さやかの衝撃発言に、愛美は電車内の天井を仰いだ。

「違う……んじゃないかなぁ。ちゃんと言われたワケじゃないし、わたしも告白してないし」

 恋愛が始まる時、キチンとお互いに想いを伝えあって、「ここからがスタートだ」とラインを引けるのが愛美の理想なのだけれど。

「愛美はカタチにこだわりすぎなんだよ。友達から恋愛に発展したりとか、ただ連絡取り合うだけの関係から始まる恋愛もあるんだよ?」

「そうかもしれないけど……。わたし、純也さんより十三歳も年下なんだよ? 姪の珠莉ちゃんと同い年なんだよ? そんなコと付き合いたいとか思うかなぁ?」

 愛美はまだ未成年だし、ヘタをすれば犯罪にもなりかねない。もしそうならないとしても、周りから〝ロリコン〟だと思われたりするんじゃないだろうか?

「純也さんが、愛美の気持ちに気づいてたとしたらどう?」

「えっ? どう……って」

 愛美はグッと詰まる。もしもそうなら、両想いということで、彼が愛美との交際をためらう理由はなくなるわけだけれど……。

「案外、そうかもしれませんわよ?」

 電車に乗り込んでからずっと黙り込んでいた珠莉が、ここへきてやっと口を挟んだ。

「……珠莉ちゃん、何か知ってるの?」

 もしかしたら、彼女は叔父から彼の愛美への想いを打ち明けられているのかもしれない。愛美は淡い期待を込めて、珠莉に訊ねた。

「知っていても、私からは言えないわ。それはあなたが叔父さまご本人から聞かなければ意味がないことじゃありませんの?」