炭酸が入っている方が、後味スッキリで飲みやすかっただろう。

「でも、コレはコレでいい記念になったから、まあいいかな」

 一ついい勉強になったからよしとしようと愛美は思った。「タピオカミルクティーは甘ったるい」と。

(それに、大好きな純也さんと一緒に飲めたし)

 思い出とは〝何を〟飲んだり食べたりしたかではなく、〝誰と〟が大事なんだと思う。大好きな人と、同じ経験を共有できたことが何よりの思い出になるのだ。

「――ふーっ、お腹いっぱいになったね。じゃあ純也さん、あたしたちそろそろ帰ります。今日はお世話になりました」

「叔父さま、今日はありがとうございました」

 原宿駅の前まで純也さんに送ってもらい、三人はそこで彼と別れた。
 さやかと珠莉は彼にお礼を言い、すぐにでも帰りそうな雰囲気だったけれど、愛美は彼との別れがまだ名残(なごり)惜しかった。

「愛美ちゃん、今日は楽しかったね。連絡先、教えてくれてありがとう」

「……はい」

「じゃあ、また連絡するよ」

「はい! ……あ、じゃなくて。わたしから連絡してもいい……ですか?」

 恋愛初心者にしては大胆なことを、愛美は思いきって言ってみた。
 今度こそ、引かれたらどうしよう? ――愛美は言ってしまってから後悔したけれど。

「うん、もちろん。待ってるよ」

「はぁー……、よかった。じゃあ、また」

「うん。気をつけて帰ってね」

 愛美は純也さんに大きく頭を下げ、二人の親友と一緒に改札口へ。

「――さやかちゃん、珠莉ちゃん。今日、すっごく楽しかったね」

 帰りの電車の中で、愛美は二人のどちらにとなく話しかけた。

「うん、そうだね。初めて好きな人にプレゼントもらって、初めて劇場に行って、好きな人と連絡先交換してもらって、そんでもって初タピ? 盛りだくさんじゃん」

「……もう! さやかちゃんってば、列挙しないでよ」

 一つ一つはいい思い出だけれど、順番に挙げられると色々ありすぎて目まぐるしい日だった。