(やっぱり純也さん、珠莉ちゃんに何か弱み握られてるんじゃ……)

 そうじゃないとしても、純也さんと珠莉の関係に何か変化があったらしいのは確かだ。同じ秘密を共有しているとか。

(……うん。そっちの方がしっくりくるかも)

 叔父と姪の関係がよくなったのなら、その考え方の方が合っている気がする。……それはさておき。 

「そういえばさっき、電話で愛美から聞いたんだけど。二人、連絡先交換したらしいよ」

「えっ、そうだったんですの? 愛美さん、よかったわねぇ」

「うん。……あれ? さっきの電話の時、珠莉ちゃんも一緒だったんじゃないの?」

 電話口のさやかの声は、興奮していたせいかけっこう大きかった。だから、側にいたなら珠莉にも聞こえていたはずなのだけれど。

「私には聞こえなかったのよ。確かに、さやかさんの側にはいたんだけど、周りに人が多かったものだから」

(ホントかなぁ、それ)

 珠莉の言ったことはウソかもしれないと、愛美は疑った。でも、聞こえなかったことにしてくれたのなら、珠莉にしては気が利く対応だったのかもしれない。

「……そうなんだ。じゃあ、そういうことにしとくね」

 何はともあれ、愛美は純也さんといつでも連絡を取り合えるようになり、親友二人にもそのことを喜んでもらえた。それだけで愛美は万々(ばんばん)(ざい)である。

「――さて。日が傾いてきたけど、みんなどうする? まだ行きたいところあるなら、付き合うけど」

 純也さんが腕時計に目を遣りながら、愛美たちに訊ねた(ちなみに、彼の腕時計はブランドものではなくスポーツウォッチである)。
 時刻はそろそろ夕方五時。今から電車に飛び乗って帰ったとしても、六時半からの夕食に間に合うかどうか……。

「あっ、じゃあクレープ食べたいです! チョコバナナのヤツ」

「わたしも!」

「私も。ヘルシーなのがいいわ」

 〝原宿といえばクレープ〟ということで、女子三人の希望が一致した。