「大人になってからは、友達とお揃いで何か買うの恥ずかしくなったりするから。今のうちにやっとけば、後々いい思い出になるってモンだ」

 純也さんの言い方には、妙な説得力がある。珠莉はピンときた。

「……もしかして、叔父さまにも経験が?」

その通り(ザッツライト)。俺にだって、学生時代の思い出くらいあるさ。――あ、そうだ。それ、俺からプレゼントさせてくれないかな?」

「「「えっ?」」」

 思いがけない純也さんの提案に、三人の女子高生たち()は一同面食らった。

「そんな! いいですよ、純也さん! コレくらい、自分で買えますから」

「そうですよ。そこまで気を遣わせちゃ悪いし」

「いいからいいから。ここは唯一の大人に花を持たせなさい♪ じゃあ、会計してくる」

 そう言って、品物を受け取った彼が手帳型のスマホケースから取り出したのは、一枚の黒光りするカード――。

「ブラックカード……」

 愛美は驚きのあまり、思考が止まってしまう。
 ブラックカードは確か、年収が千五百万円だか二千万円だかある人にしか持てないカード。存在すること自体、都市伝説だと思っていたのに……。

「純也さんって、とんでもないお金持ちなんだね……」

 今更ながら、愛美が感心すれば。

「当然でしょう? この私の親戚なんですものっ」

 珠莉がなぜか、自分のことのようにふんぞり返る。……まあ、確かにその通りなんだけれど。

「ハイハイ。誰もアンタの自慢なんか聞いてないから」

 すかさず、さやかから鋭いツッコミが入った。

「――はい、お待たせ。買ってきたよ」

 しばらくして、会計を済ませた純也さんが、三つの小さな包みを持って、三人のもとに戻ってきた。

「一つずつラッピングしてもらってたら、時間かかっちゃった。――はい、愛美ちゃん」

 彼は一人ずつに手渡していき、最後に愛美にも差し出した。

「わぁ……。ありがとうございます!」