「とりあえず、高校三年間は援助を続けて下さるそうよ。卒業後にそのまま大学へ進むか、就職するかはあなたに任せたいって」
「そうですか。……もし大学に進んでも、援助は続けて頂けるんでしょうか?」
大学までとなると、学費もバカにならない。そこまで見ず知らずの人の厚意に甘えていいものかと、愛美は思ったけれど。
「ごめんなさい、そこまでは聞いてないわ。その時が来たら、またあなた自身から相談すればいいんじゃないかしら」
「そうですね……」
まだそんな先のことまでは考えられない。まずは、進学できることになったことを喜ぶべきだろう。
「――それでね、あなたに出された条件は、毎月お手紙を出すことだそうよ。それもお金のお礼なんていいから、あなたの学校生活のことや、日常のことを知らせてほしいんですって」
(……あ、やっぱり同じだ。『あしながおじさん』のお話と)
愛美はふとそう思った。あの物語の中でも、ジュディが院長から同じ内容の話を聞かされていたのだ。
「このデジタル全盛期の時代に変わってるでしょう? でも、あの方のお話では、文章力を養うには手紙を書くのが一番だって。それに、あなたの成長を目に見える形で残すには、メールよりも手書きの文字の方がいいからって」