「えっ、ホント!? やったー♪」

 愛美はそれを聞いて大はしゃぎ。二学期が始まる前に、愛美とさやかとで話していたことが実現したらしい。

 さやかの話によれば、愛美の入院中にさやかがその話を珠莉にしたところ、「それじゃ私も一緒がいい」と珠莉も言いだしたのだという。
 そして、ちょうど具合のいいことに、同じ学年で三人部屋を希望するグループが他にいなかったため、空きが出たんだそう。

「来月からは、三人一緒だね。わたし、嬉しいよ。一人部屋はやっぱり淋しいもん」

「うん。あたしも珠莉も、愛美とおんなじ部屋の方が安心だよ。もうあんなこと、二度とゴメンだからね」

 愛美が倒れた時、発見したのはさやかと珠莉だった。女の子二人ではどうしようもないので、慌てて晴美さんと男性職員さんを呼んできて、車で付属病院まで連れて行ってもらったのだった。
「一緒の部屋だったら、もっと早く気づけたのに……」と、さやかも落ち込んでいたらしい。

「うぅ…………。その節はありがと。でも、もうわたし、一人で悩んだりしないから。もうネガティブは卒業したの」

「そっか」

 今は心穏やかでいられるから、悩むこともない。愛美は生まれ変わったような気持ちになっていた。

(バイバイ、ネガティブなわたし!)

 愛美は心の中でそう言って、後ろ向きな自分に別れを告げた。

 そして愛美の高校生活は、もうすぐ二年目を迎える――。