「まだ降ってる……」
窓の外をじっと見つめながら、愛美は呟いた。朝からずっと降り続いている雨は、今の愛美の心によく似ている。
(さやかちゃんはああ言ってくれたけど、ホントにおじさま、わたしに愛想尽かしてないのかな……?)
こんな天気のせいだろうか? 愛美の心もすっきり晴れない。
――と、そこへ一人の看護師さんがやってきた。赤いリボンの掛けられた、やや大きめの真っ白な箱を抱えて。
「――相川さん。コレ、お見舞い。ついさっき届いたんだけど」
「……えっ? ありがとうございます……」
(お見舞い? 誰からだろ?)
箱を受け取った愛美は、首を傾げながら箱に貼られた配達伝票を確かめる。――と、そこには信じられない名前があった。
「田中……太郎……」
秘書の〝久留島栄吉〟の名前ではなく、〝あしながおじさん〟の仮の名前がそこには書かれている。しかも、直筆で。
「送り主は、あなたの保護者の方?」
先に名前を確かめたらしい看護師さんが、愛美に訊ねた。
「はい。――あの、開けてもいいですか?」
「ええ、もちろん。どうぞ」
リボンをほどいて箱のフタを開けると、そこにビッシリ入っているのはピンク色のバラの花。
「フラワーボックスね。キレイ」
「はい……。あ、メッセージカード?」
思わず感動を覚えた看護師さんに頷いた愛美は、バラの花の上に乗っている小ぶりな封筒に気づいた。
『相川愛美様 田中太郎』
表書きの字は、伝票の字と同じで右下がりの変わった筆跡だ。
****
『相川愛美様
一日も早く、愛美さんの病状がよくなりますように。回復を祈っています。
田中太郎より 』
****
二つ折りのメッセージカードには、これまた封筒の表書きと同じ筆跡でそれだけが書かれていた。
(おじさま、わたしの手紙、ちゃんと読んでくれてるんだ……)
カードの文字を見つめていた愛美の目に、みるみるうちに涙が溢れてきた。
窓の外をじっと見つめながら、愛美は呟いた。朝からずっと降り続いている雨は、今の愛美の心によく似ている。
(さやかちゃんはああ言ってくれたけど、ホントにおじさま、わたしに愛想尽かしてないのかな……?)
こんな天気のせいだろうか? 愛美の心もすっきり晴れない。
――と、そこへ一人の看護師さんがやってきた。赤いリボンの掛けられた、やや大きめの真っ白な箱を抱えて。
「――相川さん。コレ、お見舞い。ついさっき届いたんだけど」
「……えっ? ありがとうございます……」
(お見舞い? 誰からだろ?)
箱を受け取った愛美は、首を傾げながら箱に貼られた配達伝票を確かめる。――と、そこには信じられない名前があった。
「田中……太郎……」
秘書の〝久留島栄吉〟の名前ではなく、〝あしながおじさん〟の仮の名前がそこには書かれている。しかも、直筆で。
「送り主は、あなたの保護者の方?」
先に名前を確かめたらしい看護師さんが、愛美に訊ねた。
「はい。――あの、開けてもいいですか?」
「ええ、もちろん。どうぞ」
リボンをほどいて箱のフタを開けると、そこにビッシリ入っているのはピンク色のバラの花。
「フラワーボックスね。キレイ」
「はい……。あ、メッセージカード?」
思わず感動を覚えた看護師さんに頷いた愛美は、バラの花の上に乗っている小ぶりな封筒に気づいた。
『相川愛美様 田中太郎』
表書きの字は、伝票の字と同じで右下がりの変わった筆跡だ。
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『相川愛美様
一日も早く、愛美さんの病状がよくなりますように。回復を祈っています。
田中太郎より 』
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二つ折りのメッセージカードには、これまた封筒の表書きと同じ筆跡でそれだけが書かれていた。
(おじさま、わたしの手紙、ちゃんと読んでくれてるんだ……)
カードの文字を見つめていた愛美の目に、みるみるうちに涙が溢れてきた。